屈折する星屑エセー

世はさだめなきこそ いみじけれ

令和2年の初笑い『男はつらいよ おかえり寅さん』 予習するなら43作目「寅次郎の休日」

最近は引っ越しに備えて荷造りに追われる日々です。

皆さん、こんにちは。

 

お正月はあっという間に過ぎて行きましたけども、正月の正しい過ごし方は何か改めて考えてみましょう。


正月といえば何ですか?

おせち、初詣、凧揚げ、羽根つき、コマ回し(⇦いつの時代だ!!)

このような典型的なイベントも良いでしょう。

しかし、何か足りませんよね。

 

そう『男はつらいよ』です。

 

我が家の正月は『男はつらいよ』と決まっています。

お正月映画と言えばこれ一択!!

 

冒頭の富士山を背にした松竹のロゴですよ。

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https://plaza.rakuten.co.jp/karolkarol/diary/200807050000/

これこそが正月映画に最もふさわしいと思いませんかね?

男はつらいよを観なけりゃ正月じゃないよ!!

ということで今年正月は年末公開されたシリーズ50作目となる

男はつらいよ おかえり寅さん』

を観に行ってきました。

 

当記事は寅さん愛が強すぎて長文になっております。

 

 

ストーリー

小説家の満男(吉岡秀隆)は、中学三年生の娘と二人暮らし。最新著書の評判は良いが、次回作の執筆にはいまいち乗り気に
なれないモヤモヤした日々。なぜか夢の中には、初恋の人・イズミ(後藤久美子)が現れ悩みだす始末。
そんな時、妻の七回忌の法要で実家を訪れた満男は、母・さくら(倍賞千恵子)、父・博(前田吟)たちと昔話に花を
咲かす。いつも自分の味方でいてくれた伯父・寅次郎(渥美清)との、騒々しくて楽しかった日々。あの寅さんへの想いが、蘇る―

https://www.youtube.com/watch?v=-dL5OHWsW8w

 松竹公式チャンネルより

 

感想

個人的に男はつらいよは義務教育だと思っているのである程度の知識があるという前提で話を進めます。

以下、辛辣な批評から。

 

男つらシリーズ本編冒頭は寅さんの夢から始まり、その後あの有名な主題歌が流れるのですが今作のオープニングは残念ながらテーマ曲を歌う桑田佳祐の PV となっています。

これって桑田佳祐のコスプレカラオケやん・・・。歌い方も寄せてきてるし。

往年のファンからすれば渥美清とその家族を見たいのであって桑田佳祐ではないですね。

違和感を捨てきれずに本編突入したところで高校生時代の満男(吉岡秀隆)と泉ちゃん(後藤久美子)の回想シーンが流れて安堵しました。

 

しかしその泉ちゃん、フランス生活が長いせいか日本語が不自然。

演技以前に日本語を忘れています。

山田監督はなぜ OK テイクを出したのか。無理言って帰国させてるから仕方なかったのかもしれませんが。

 

さらに言うと泉ちゃんのお父さん役は昔は寺尾聡だったのに橋爪功になっています。そして意地汚いオヤジを演じています。

これは『家族はつらいよ』の祖父役をそのままスライドさせたキャラクター。

寺尾聡演じたかつてのパパはもっと気さくでダンディーだったのに別人格になっていたのは非常に残念。ルビーの指環感ゼロ!

 

泉ちゃんが勤務するUNHCRが難民について講演しているのですが、そのくだりも長く感じました。

男はつらいよの世界は世俗と離れたところにあるのが良さのはずです。社会や戦争とは隔絶したところにあの柴又がある。そのため観客は日常を忘れホっとできるのです。

山田監督は反戦メッセージを込めたかったのだと思いますが、それは他の作品でやってほしかったですね。

 

とこんな風に私は難点を挙げたのですが、産経新聞産経抄」でも本作に触れ、同じ指摘があるのを紹介していました。感想として同じ声が多かったのでしょうね。しかし産経記事では博やさくらなどの寅さんを知る家族が残っていることが大事だと総じて高評価しています。


でも私はやっぱり寅さんがいてほしい。

劇中で時折回想される寅さんの名場面の数々。その度に渥美清の存在をいやが応でも痛感させられます。あの四角い顔(満男談)

博とさくらが今作でも

「お義兄さん今頃どこかな」

「お兄ちゃん今どこにいるのかしら」

と昔つぶやいていたように寅さんの帰りを待っている様子が描かれます。

その都度私もあの声が聞きたいなと思ってしまいます。

そう心はとらやの住人なのです。

 

ただでさえ懐かしいのに過去の寅次郎の恋人たち、大原麗子八千草薫吉永小百合など昭和平成を彩った女優達がスクリーンに登場する時にウルッときてしまいました。

リリーこと浅丘ルリ子や泉ちゃんの母(夏木マリ)の現在の姿も描かれます。

 

そこで今作のストーリーを理解する上で重要なのは

シリーズ43作男はつらいよ 寅次郎の休日』

なんですね。

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第43作 男はつらいよ 寅次郎の休日|松竹映画『男はつらいよ』公式サイト| 松竹株式会社

 

本作はこの43作の30年振りに作られた続編といってもいいのではないでしょうか。

この作品は寅さん・満男、泉ちゃん・泉ちゃんの母の関係をおさらいする上で非常に重要です。

極端に言ってしまえば男はつらいよを観たことがなくても大丈夫。

48本も見る必要はありません。

男はつらいよには興味あるけど一本も見たことないよ!

というそこの10代20代の青年、お嬢ちゃん!

この『寅次郎の休日』だけ見て映画館へ行きなさい。

NETFLIXに全話上がってるから安心しなさい。

 

男はつらいよシリーズの後半は寅さんから満男へと軸が移っていく。

その満男が今作のラストで寅さんを思い出し涙を流す芯があります。

これは卑怯ですね。

 

「今おじさんがいてくれたら・・・(何て言うだろう)」


いつもの調子で満男が問いかけるのですが、これまでの満男編のセリフとは重みが違います。

だって渥美清で新作を取るのは不可能ですから。

おいちゃん、おばちゃん、タコもいないとらや。

そして旅の途中という設定の寅さん。

もう涙が溢れました。

劇場内も笑いに包まれていたのが、すすり泣きに変わっていました。

 

そこで渥美清が歌う主題歌がバーンと流れてエンディングなわけです。

もう最高ですね。しびれました。涙が止まらない。

 

 

令和2年の初笑いと初涙をありがとう寅さん。

 

ともあれ芸術家の横尾忠則が作品の構成やアイデアに関して山田監督と場外乱闘をしている模様ですが、そんなの”男つら”ファンから見たら本当にどうでも良い。

粋なねえちゃん立ちションベンくらいどうでも良い。

いや、イケてるギャルの立ち小便はどうでも良くないけれども、まあそれもひっくるめてどうでもよくて。

 

スクリーンで見る車寅次郎はリアル世代ではない我々にとって大変貴重な体験です。

想像通り30代の私は劇場内で最年少でしたけども。

小学生の時分、土曜・日曜洋画劇場で初めて観たあの頃から30年が経ち、いつのまにか父となった今、男はつらいよに対する視点がライフステージと共に変わってきました

ずっと満男と等身大だと思っていたのが、今では博とさくら目線になっています。

 

しかし寅さんの会話はいくつになっても相変わらず心に響きます。

ぜひ、公開中に劇場で寅さんと会話をしてきてください。

 

といったところで本日はお開き。

長文失礼。

本年も当ブログを引き立ってお頼み申し上げます!!